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特定技能の「転職・移籍」が起きたとき事業者はどう対応すべきか

この記事でわかること

  • 特定技能外国人が転職できる条件と制度の仕組み
  • 転職・退職を申し出られたときの正しい対応手順(5ステップ)
  • 届出義務・罰則・在留資格への影響
  • 転職を事前に防ぐ定着策と、補充採用の進め方

「採用した特定技能の外国人スタッフが『転職したい』と言ってきた」「突然来なくなった」──こうした相談が増えています。特定技能外国人は制度上、同じ産業分野内であれば転職の権利があります。問題は転職が起きたときに何をすべきかを知らないまま放置してしまうことです。届出義務を怠ると、事業者が行政処分を受けるリスクもあります。

特定技能外国人は転職できるのか

はい、できます。特定技能1号・2号ともに、同じ産業分野(業務区分)内であれば転職が認められています。

在留資格転職条件
特定技能1号可能同じ産業分野の業務区分内
特定技能2号可能同じ産業分野の業務区分内
技能実習(旧制度)原則不可特別な理由がある場合のみ可
産業分野をまたいだ転職はできない

例えば「飲食業(外食業)の特定技能」として採用した外国人が、建設業に転職することはできません。同じ産業分野内での職場移動は「転職」として認められていますが、分野をまたぐ場合は在留資格の変更申請が必要です。

転職・退職を申し出られたときの5つの対応手順

1
退職日・最終出勤日を書面で確認する
口頭だけでなく、退職届を受け取って退職日を明確にします。在留期限との兼ね合いを確認し、手続き上の余裕を持って対応します。
2
登録支援機関に連絡する
登録支援機関と契約している場合は速やかに連絡します。支援計画の変更や終了に伴う手続きを確認してもらいます。
3
出入国在留管理局への届出(14日以内)
雇用契約が終了した場合、事業者は契約終了日から14日以内に出入国在留管理局に届出が必要です。オンライン申請またはハガキで届出できます。
4
ハローワークへの離職票交付・雇用保険手続き
雇用保険の被保険者資格喪失届を退職日の翌日から10日以内にハローワークへ提出します。外国人スタッフも雇用保険の対象です。
5
社会保険・住居・生活支援の引き継ぎ
社会保険は退職日の翌日に資格を喪失します。寮・社宅を提供していた場合は退去期限を明確に伝え、次の住居探しをサポートする配慮が望ましいです。
届出を怠った場合の罰則

出入国在留管理局への届出(14日以内)を怠った場合、特定技能の受入れ機関として登録取消し処分を受けたり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。「辞めてしまったから関係ない」ではなく、必ず手続きを完了させてください。

失踪・無断欠勤が起きた場合

突然来なくなった場合も、法的には「雇用契約の終了」として処理する必要があります。

  • 連絡が取れない状態が続く場合は、内容証明郵便で退職勧告を送付する
  • 出入国在留管理局に「行方不明者届」を提出する
  • 登録支援機関や送り出し機関(海外エージェント)にも状況を連絡する
  • 社会保険・雇用保険の資格喪失手続きを進める

失踪の背景には、劣悪な労働環境・賃金未払い・ハラスメントが隠れている場合もあります。行政調査が入るケースもあるため、日頃から適正な労働条件の維持が重要です。特定技能外国人採用の失敗事例10選と防止策もあわせてご確認ください。

転職を事前に防ぐ定着策5選

1. 定期的な面談でストレスを早期把握する

月1回、30分程度の1on1面談を実施します。母国語対応が難しければ、翻訳アプリを使いながらでも構いません。「困っていることはないか」「職場環境はどうか」を継続的に確認することで、転職意向を早期に察知できます。

2. 給与・待遇を同業他社と比較して見直す

特定技能外国人の転職理由の最多は賃金不満です。特定技能外国人の給与・待遇設計の7つのポイントを参考に、年1回以上の賃金見直しを行いましょう。

3. キャリアパスを明示する

「このまま働き続けたらどうなるか」が見えないと転職を考えやすくなります。特定技能2号への移行や、リーダー職への昇格条件を明文化して提示します。

4. 住居・生活環境を整える

離島では生活環境が孤立しやすいです。特定技能外国人の住居確保・生活支援マニュアルを参考に、日常生活のサポートを充実させることが定着率向上につながります。

5. 転職を「権利」として尊重した上で魅力を高める

「辞めさせない」発想ではなく「辞めたくなくなる職場を作る」発想が重要です。給与・人間関係・将来性の3点を継続的に改善し、外国人スタッフにとっての「この会社で働き続ける理由」を積み重ねていきます。

転職後の補充採用の進め方

特定技能外国人が転職してしまった場合、補充採用が必要になります。採用から就労開始まで平均3〜6ヶ月かかるため、早めの動き出しが必須です。

  • 登録支援機関・人材紹介会社に補充採用の依頼を出す
  • すでに在留資格を持つ「国内在留中の特定技能外国人」を優先で探す(最短1〜2ヶ月で採用可能)
  • 海外からの呼び寄せ(新規入国)は審査に3〜6ヶ月かかることを見込む

特定技能制度の基本から採用手順まで、特定技能外国人を採用する完全ガイドで詳しく解説しています。

よくある質問

転職を「引き止める」ことは違法ですか?

強制的に引き止めることは違法です。ただし、退職日を合意の上で調整したり、「続けてほしい理由・改善できること」を伝えて話し合うことは問題ありません。

転職先が同じ産業分野かどうかはどこで確認しますか?

出入国在留管理局の「特定技能ポータルサイト」に産業分野ごとの業務区分一覧が掲載されています。不明な場合は登録支援機関に確認するのが確実です。

特定技能外国人が転職する場合、在留資格はどうなりますか?

同じ産業分野内の転職であれば「在留資格変更(所属機関変更)」の手続きが必要です。申請中は就労できない期間が生じる場合があるため、本人・転職先・入管の三者で手続きのタイミングを調整する必要があります。

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特定技能外国人の定着率を高める職場環境の整備

転職・退職を防ぐ根本的な対策は、「辞めたくなくなる職場」を作ることです。特定技能外国人が長く働き続けるために、以下の職場環境整備が有効です。

コミュニケーション環境の整備

  • 業務マニュアルを多言語対応にする(ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語など)
  • 翻訳アプリ(DeepL・Google翻訳)の活用を標準化する
  • 日本語能力向上のための勉強時間を就業時間内に設ける
  • 日本人スタッフへの「やさしい日本語」研修を実施する

生活支援の充実

  • 銀行口座開設・スマートフォン契約などの初期手続きをサポートする
  • 母国への送金方法を案内する
  • 近隣のスーパー・病院・役場の場所を説明する
  • 宗教的な習慣(礼拝時間・食事制限など)に配慮する

受け入れ側がよく犯すミス5選

ミス1:日本語でのコミュニケーションだけに頼る

特定技能外国人の日本語能力はN4〜N3レベルが多く、複雑な業務指示や感情的な話し合いを日本語だけで行うのは限界があります。翻訳ツール・多言語マニュアルを積極的に活用しましょう。

ミス2:転職リスクを「当初から諦める」

「どうせ転職するから」と定着投資を怠ると、自己成就的予言になります。定着策を徹底した事業者は、特定技能外国人の定着率が80〜90%に達するケースもあります。

ミス3:処遇が日本人スタッフと明らかに不公平

同じ業務をしているのに賃金が低い・昇格の機会がないと感じると、転職意欲が高まります。外国人スタッフにも明確な評価基準と昇給・昇格の道筋を示すことが重要です。

ミス4:プライベートへの過度な干渉

寮の管理・外出制限・友人関係への干渉は、外国人スタッフが「監視されている」と感じる原因になります。業務外の時間は自由に使えることを明確にし、生活の自立を支援します。

ミス5:転職の兆候を見逃す

「急に元気がなくなった」「有給の申請が増えた」「スマートフォンを頻繁に見るようになった」などは転職活動の兆候として見えることがあります。定期面談でこうした変化を早期に察知し、対話することが大切です。

国籍別・転職を防ぐポイント

国籍転職しやすい傾向・背景効果的な対策
ベトナムSNSで転職情報が広まりやすい・給与への関心が高い定期的な賃金見直し・昇給の約束を文書化
インドネシア同郷コミュニティのネットワークが強い宗教的配慮(礼拝・ハラール食)・コミュニティ活動への参加支援
ミャンマー政治的不安定からの精神的負担が大きい家族への送金サポート・精神的なよりどころとなる相談窓口の設置
フィリピン英語圏への転出志向がある・家族思い家族向け福祉制度(帰国費用補助など)・長期定着への明確なメリット提示

転職・退職後の手続きチェックリスト

手続き期限担当者
出入国在留管理局への届出契約終了から14日以内事業者(またはオンライン申請)
雇用保険・被保険者資格喪失届退職日翌日から10日以内事業者→ハローワーク
健康保険・厚生年金 喪失届退職日から5日以内事業者→年金事務所
住民票の異動届(本人)転居後14日以内本人→市区町村
登録支援機関への連絡できるだけ速やかに事業者

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